デジタル・フォレンジック調査を科学する

デジタル・フォレンジック調査ラボは、デジタルフォレンジックPROが運営する、デジタル証拠の保全・解析、情報漏えい、社内不正調査に関する専門情報サイトです。
パソコン、スマートフォン、メール、クラウドサービス、USBメモリなどには、ファイル操作や削除、データ持ち出し、不正利用に関するさまざまな痕跡が残ります。

このサイトでは、デジタル・フォレンジックの専門家が、証拠保全の方法、削除データや操作履歴の解析、情報持ち出し調査、クラウド調査、調査報告書の作成、初動対応の注意点などを、実務的な視点からわかりやすく解説します。

記事監修者 継野勇一

デジタル・フォレンジック調査-研究コラム

デジタル・フォレンジック調査は、証拠保全と初動対応が重要です

デジタル・フォレンジック調査は、パソコン、スマートフォン、サーバー、クラウドサービスなどに残されたデジタルデータを保全・解析し、操作や通信、データ持ち出しなどの事実関係を明らかにするための調査です。

情報漏えい、営業秘密の持ち出し、横領、不正アクセス、データの削除、退職前のファイルコピー、USBメモリの使用、メールやチャットによる外部送信など、企業内で発生する問題の多くには、何らかのデジタル上の痕跡が残る可能性があります。

近年では、社内のパソコンだけでなく、スマートフォン、Google Workspace、Microsoft 365、オンラインストレージ、ビジネスチャット、外部記録媒体など、調査対象となる機器やサービスが多様化しています。

しかし、デジタル・フォレンジック調査で最も大切なのは、単にデータを解析することだけではありません。

調査対象となる機器やアカウントの状態をできる限り維持し、必要なデータを適切な方法で保全したうえで、証拠の信用性や調査の目的を損なわない形で解析を進めることが重要です。

たとえば、パソコンやスマートフォンの不用意な操作、ファイルの閲覧、電源のオン・オフ、アプリケーションの起動、クラウドアカウントへのログインなどによって、アクセス日時やログ、同期データが更新される場合があります。

また、削除データや操作履歴の一部は、時間の経過や機器の継続使用によって上書きされ、確認が難しくなることがあります。

そのため、情報漏えいや不正の疑いが発覚した場合には、関係者をすぐに問い詰めたり、社内担当者が独自に機器を操作したりする前に、調査対象、保全方法、権限、プライバシー、労務上の問題などを整理する必要があります。

初動対応を誤ると、重要な証拠が失われるだけでなく、調査結果の信用性や、訴訟・懲戒処分における証拠としての評価にも影響するおそれがあるため、デジタル・フォレンジック調査は慎重に進める必要があります。